2025年8月19日火曜日

「挑戦!桃岩荘!2025」 二日目

 桃岩荘の朝は早い。

長距離トレッキングに出発する人が4時頃から起き始め、静かに行動を始めるんだけど、なんせ桃岩荘の階段や廊下は人が歩くとギシギシ音がして、なんとなく気になって目がさえる。



自分も起きて、キャンプ用のコンロと昨日食べそこなったソーセージを持って、波打ち際で朝食にする。




世の中には美味しいものや高級なものがいろいろあるけど、石浜で波が引くときの「コロコロコロ……」という小石が転がる音を聞きながら食べるシャウエッセンは最高に美味いんですよね。

6時。突然、音質が割れまくりの「石狩挽歌」が流れて起床時間。
荷物を整理し、シーツを返却するとラジオ体操の時間。
朝から大声でラジオ体操の歌を歌い、わりと本気で体を動かす。
そうこうしているうちに、始発のフェリーに乗る人が出発の時間になり入り口前に集合して見送りの儀式が始まる。

出発する人が歩き始めると、みんなで送り出しの歌を歌う。
歌の合間に「いってらっしゃーい!」「また来いよー!」と大声をかけ、出発する人も振り返って「行ってきまーす!」「また来るぞー!」と叫んでいる。

全然話したこともない人たちだし、普段こういうことを冷めている自分も、なんだか旅立ちのシーンに胸が苦しくなる。

出発した人がカーブを曲がって見えなくなっても声を出し続け、見送りの儀式、終了。
身の回りを確認して荷物をフェリーターミナルまで届けてもらう段取りをし、本日のトレッキングに出発。

桃岩荘を出発し、トンネルを抜けて桃岩展望台、灯台、北のカナリアパーク、フェリーターミナルまでの10キロコース。
桃岩荘に泊まった人でこのコースを歩く人はいなかったので、ひたすら一人で登る。
桃岩展望台までの直登で汗びっしょりになったけど、稜線に出ると海からの風が異常に気持ちいい!
灯台から降り、礼文の漁師町を歩く。



朝にシャウエッセンを食べただけなので腹が減って足が前に出ない。何度もタクシーを呼ぼうか迷いながらも、ほぼ限界で北のカナリアパークにたどり着き、ポカリを飲む。
最高に美味いし、なんだか力がわいてきたーーー!
ということで無事10キロ完走。

フェリー乗船の時間が近づいた頃、桃岩荘ワゴンが到着し荷物を受け取る。
ヘルパーさんに「桃岩荘どうでした?」と聞かれたので、「最高でした!昨日はアニソンメドレーを全然踊れなかったので、絶対また来ます!」と答えて握手。

リュックを背負い、一人でフェリーターミナルに向かってヨロヨロ歩いていると、背後から「行ってらっしゃーい!」と旗を振って大声で叫んでいる。周りには自分しかいない。
あの二人は自分に向かって叫んでくれているんだ。

と気づき、振り返って二人に向かって「行ってきまーす!」「また来るぞーーー!」と叫んで、これまでの人生、55年で振った事が無いくらいのイキオイで全力で手を振った。





桃岩荘って、今の時代に冷めた目で見ると、建物は古くて快適でもないし、食べ物も自炊。 寝床は押し入れのような場所にペラペラの布団を敷いて寝る感じで、宿泊施設としては全然良くない。






快適で、オシャレで、誰かが作った施設で楽しみたい人には絶対おすすめしない。

ただ、なんとなく貧乏臭くて泥臭い、でも懐かしくて暖かい不思議な空気が好きな人にはたまらない、おすすめな場所でしたね。


次は何年後に行こうかな。

「挑戦!桃岩荘!2025」

ということで、
今年の冒険は5年ほど前から「いつかいつか」と思っていた礼文島の桃岩荘宿泊。
 桃岩荘というユースホステルは日本三大バカユースホステルと呼ばれる、かなり独特な宿泊施設。
 4年前にバイクで礼文を走った時、フェリーターミナルで歌って踊って大声で騒いでいる人たちを見て「何だこりゃ?」と思った。 

あとで調べてみると、それは「桃岩荘」の見送りの儀式と呼ばれる儀式で、さらに調べると桃岩荘に関する怪しいエピソードが次々と出てくる。 

 「とんでもねぇヤバい宿泊施設だ!」と思っていたけど、去年NHKの「ドキュメント72時間』で桃岩荘の72時間が放送されているのを見て、 「オラ、なんだかワクワクしてきたぞ!」状態になってしまい、今年の予約開始と同時に申し込んでしまった。

 本来ならバイクで稚内まで走って、そこからフェリーで渡る予定だった。


 しかし朝2:30、スマホの天気予報を見ると道北稚内地方は豪雨。 




 ということでバイクツーリングは諦めて車で出発。 
 道中はずっと雨。
天塩からサロベツ原野も豪雨。 
 しかし稚内に近づくにつれて雨が上がり、晴れ間も出てきた。 

 マックで朝飯を食べ、ドナルドと記念撮影。
見ていると観光客がひっきりなしにドナルドと記念撮影している。 
ドナルド、うつろな目つきのくせに人気者だ。




 乗船時間になりフェリーに乗船。 フェリーが沖に出るとどんどん青空が広がり、超青空。




波もおだやか。 2時間後、礼文・香深港に入ると、フェリーターミナルの片隅で旗を振るバンカラ風な人が見える。 



 「桃岩荘だ!やってるやってる!」 
下船するとロビーで出迎えの人がいたので声をかけて予約確認。 
 説明を受けると「送迎車はフェリーの出港時間に合わせて毎回来るので、このまま桃岩荘に行っても良いし、次の送迎の時間まで、礼文の町を見たり買い物したりしてもいい」とのこと。 


 荷物を預けて礼文の町を歩く。 
 モバイルバッテリーを忘れたので礼文の商店街を探してみたけどどこにもない。
しょうがなくレンタル自転車を借りて、3キロくらい離れたセイコーマートまでサイクリング。 



バッテリーを買い、時間まで礼文町内を歩き回り、フェリーターミナルに戻っていよいよ桃岩荘へ!

 ヘルパーさんが車内で「この車は皆さんの声で動く車なのです!なので“出発進行!”と大声で言ってください!声が小さいと発車しませんよ~」と言う。 
 このくだりテレビで見たぞ!と思い、「出発進行~!と声を出す。
 車が走り出すと、桃岩荘の世界観について説明があり、トンネルの中で「知性」「教養」「羞恥心」を捨てる儀式。 
 しかし、そもそもどれも持っていないので、なんとなくエアっぽいものを捨てておいた。




 桃岩荘に到着すると、入り口前に並ばされる。
 立って待っているとヘルパーさんが勢い良く戸を開ける。


中の広間には人々が正座していて「お帰りなさーい!」と太鼓やマラカスを鳴らしてにぎやかにお出迎えされる。 
 この時、お出迎えを受ける側で日本人は自分だけだったので、「しょがねぇ、俺が言うしかねぇか」と思い、大声で「ただいまーーーー!」と叫ぶ。 

羞恥心はトンネルに捨てて来た。 

 これを3回繰り返して、歓迎の儀式終了。 
 その後は館内説明、荷物整理、寝床の準備をして館内敷地内を探索。 
 すると突然「キンキューレンラク!キンキューレンラク!852!852!」とガサガサした音質の放送。 「何事だ!」と思っていると広間に人が集まり、鳴り物を持って座り始める。




 ムムム?と思っているとヘルパーさんからマラカスを渡され、そのまま出迎えの列へ。 今度は自分が出迎える側になり、マラカスを振る。 
この出迎えの儀式は誰かが来るたびに行われ、ひっきりなしに続く。 
 しかし強制参加ではないので、広間の隅で本を読んでいる人や何か作業している人はそのまま自分のことをやっている。



狭い風呂に入り、外をぶらぶらしていたら「ヤグラマツリガハジマリマス、ハジマリマス」とまたガサガサ放送。





人が桃岩荘玄関前に集まり始める 。
 その日はめちゃくちゃきれいな夕焼けで、ヘルパーさんの判断で「今日はやぐら祭りを少し遅らせて、まずは夕陽の儀式をやりましょう」とのこと。 



 沈んでいく夕陽を見ながら、みんなで歌を歌う。

 まさか自分が松山千春を歌うとは思わなかったけど…なんか良かったっす。




 そして「やぐら祭り」開始。 ○×ゲーム、ガリガリ君早食い、じゃんけん大会で盛り上がり、そのままミーティングプログラムへ!
 鉄腕アトムから始まりアニソンメドレー。みんな歌うし、踊るし、モッシュっぽいノリに



自分は圧倒されて棒立ち。 アニソンメドレーの後は桃岩荘歴代の歌。ラストは五つの赤い風船「遠い世界に」。 この歌はここ一ヵ月ほどyoutubeで聞き続けていたので、しっかり歌えた。 「みんなで唄う」って、「キモイ」と言う人もいるけど、自分はなんか良かったっすね。




 そして祭りのあと30分で消灯。爆睡。